知的に正直/知的に誠実

「知的に正直」とは、自分が真実だと思うことを主張することだ。その逆が、自分が主張すると「されて」いる主張をすること、ないし、内心では真実だと思うが自分が主張するとは「されて」いない主張を避けることだ。
対照的に、唱道者は、自分の立ち位置からして取らざるを得ないポジションにとって最善と思われる主張をする。それでも彼らは正直だということになっている――彼らは実際に嘘を吐くことは無いとされている。しかし、彼らが自らの主張や立場に関して良心に従うものとは思われていない。

Such a lonely word... - himaginaryの日記

これ見て最初に連想したのはオバマ大統領。見事に唱導者として失敗してるね。いまのところ。
まあこれからなんだろうけど。


政治家は「知的に正直」では務まらない。


では、研究者はどうなんだろう?
社会規範から比較的ニュートラルな分野なら問題にもならないだろうけど。
経済学とか認知科学とか人類学とか生物学とか、人々の価値観にぶつかってくる分野もあるよね。

クリントン時代にアメリカの財務長官をやってたローレンス・サマーズは、以下の発言でハーバード大学の学長をやめさせられたらしいけど…

2005年1月に全米経済研究所の後援によって開かれた会議にハーバードの学長としてではなく経済学者として招待され、科学と工学分野の高位レベルの研究者(アメリカの上位25大学の研究者のような、国民の5000人から1万人中の上位1人というレベル)に男性が多いことへの説明として三つの仮説を提示した。

  1. 男性の方が女性よりも、困難な仕事が要求する時間的拘束や融通性を受け入れる傾向がある。高位にいる女性は結婚していないか子供がいない率が明らかに高い。
  2. 次に、論争的ではあるが、極端なレベルにおける男性と女性の本質的な能力の違い。科学と工学への関心の傾向、能力、或いは好みは男性の間のほうが広い分布が見られる(つまり男性の方が非常に得意/非常に不得意の間のばらつきが大きい)。
  3. 親の養育態度のような社会化や差別。

サマーズによればこの順に相対的な重要度が高い。サマーズは「規範を述べているのではなく、完全に説明的に話して」おり、「挑発を目的としていた」と述べた。女性差別であるという告発を引き起こしたのは二つ目の仮説であった。サマーズはまた自閉症のかつての議論を例に取り、親の養育のような社会化に責任を負わせることには慎重になるべきだと述べた。「化学を専攻する女子や生物学を専攻する女子がいなかったとき、親の養育を非難することは簡単だった[1]」「私が生得的な違いに言及したことは確かだ。......私は社会化の結果だと考えるときに慎重にならないといけないと言った。我々はそう[社会化の結果であると]信じることを好むが、よく調査される必要がある
ローレンス・サマーズ - Wikipedia

Wikipediaによると二番目の仮説が女性差別的だとして一番問題にされたらしいんだけど、これはちょっと意外な気がした。
要するに女性の方が「粒がそろってる」ということでしょ?
ハーバードみたいな「規格外」に成績がいい人達が入る事になってる大学では問題になるということかしら?


「極端なレベルにおける男性と女性の本質的な能力の違い」なんていう言い方がまずかったのか?
だとすればこれは「知的に正直」である以前に政治的にインコレクトということだよね。
統計的に妥当かどうかはまったく問題にされない。
少なくともこの件に関してはサマーズは「知的に正直」だったということかな。


で、ここから連想したのが、DNAの二重螺旋で有名なジェームズ・ワトソン。
人種差別発言で時々物議をかもしてるらしいけど。
彼もまた「知的に正直」という事になるのかな?
なんかちょっとやだな。


あれ、おいら今なんかダブルスタンダード
おいらの属性が男性で非白人だから?


うーむ。