嫌いな言葉

ネットで目にする言説の中で、おいらが嫌いな言葉二つ。
以下の引用は、あえて、嫌いな言葉の使用例ではなく、ぐぐってみて、おいらの気持ちを代弁してくれてそなものを選んだ:

「ジコセキニン」

産業界には規範・法は無いも同然(規制緩和)で、貧富の差が著しい格差社会で、国家医療制度もない国家はアメリカだけだ。この様な現実に対して異議申し立てをするものには「自己責任」で脅迫し、「無能力で堕落した人間」と非難する。労働組合は存在しないのも同然で、二大政党といっても財界という政党の二つの派閥に過ぎない。

千田孝之のホームページ, ノーム・チョムスキー『メディアコントロール』読書ノート


「クミアイ利権」

・自分が持っていない権利を「利権」と呼ぶ。労働者の組合活動さえ、彼らに言わせると「利権」になります

【永田町の】 外 資 族 議 員 【新種】


これらの言葉はチョムスキーのいう民衆の「同意なき同意」をとりつけ、「民衆の心を画一化してコントロールする」ために実に効果的だ。
あと「世代間闘争」なんて言葉もまた(逆説的ではあるがしかし)容易に「行き過ぎた社民主義」を「是正」し、「社会政策費に対し、残酷で、しばしば不人気な削減をおこなう」ための思想的根拠を提供することができるように思う。
そして「数的な多数者、すなわちハミルトンの『大きな獣』の政治参加を排除する事によって、現存する社会経済的特権構造に対する脅威と認めるものを永久に破壊する」*1目標に近づくことに資するだろう。


そして今日もブログで、巨大掲示板で、無自覚なアジテータ達が、社会の福祉を損ねていくのだ――という気がしてならない今日この頃。


――
書き終わってから*2ぐぐってたら、「自己責任」意識を上記と真逆に「利用する」言説に出会った。

…この前の節で増田氏は、困窮者に安定した生活を始めるきっかけとして、生活保護予算を拡充しよう!という提案を行っています。そして「それだと生活保護予算が際限なく膨張するんじゃないの?」という読者の懸念に対して、「そういった心配はほとんどない」と増田氏は答えます。なぜなら「日本人は「自己責任社会主義」とでも言うべき思想を信奉しているからだ」と。その証明を行っているのが、これから紹介する「『自己責任社会主義』が、生活保護の際限なき膨張を防ぐ」という節です。…

市場経済を信頼せず、弱者にも厳しい日本人

*1:ノーム・チョムスキー『金儲けがすべてでいいのか――グローバリズムの正体』

*2:正確にはsnafukin氏の「自己責任社会主義国家ニッポン」で以前一度読んでたんだけど。