芸術鑑賞について
芸術運動ってのは、あれは運動なんだな。
と、ふと思った。
運動というのはつまり動いてるってことだ。
文字通り。
起点から移動し遠ざかる。
参照点からの位置変化として観測される。
そういうことだ。
「動いている」間だけ、それは運動でいられる。
鎖国日本の商業グラフィックが別の世界で進化したという要因から必然として表現の斬新さという衝撃を与え、その一突きから印象派という運動が生まれる…。
運動。
それが創作者たちに運動という概念をもたらす。
アカデミズムからの決別。新しい表現を目指す運動。
なんでもいい。
キュビズム、フォービズム、未来主義、シュルレアリスム…
彼らが旧弊とみなす場所からの運動だ。
運動が終わったあとに残るのは、運動の記憶。
だから、例えば、キュビズムの絵を見ただけでは、キュビズムは理解できない。
彼らがどこを起点とし、何を目指して運動していたのかを知らなければ。
そういうことだ。