言語の発生時期と淘汰圧の対象単位

言語の発生時期を数万年前の出アフリカ以後としている説では、咽頭の後退をどう説明しているんだろう?
わずか数万年の淘汰で咽頭がここまで下がるとは思えないし、全人種の咽頭が一様に下がっていることの説明もできない。
誤飲の危険が発生するにもかかわらず咽頭が後退したことで複雑な発声が可能になったことは、普通に考えて言語の発達と並行して起きた思える。複雑な発声による言語の発達が咽頭の後退への淘汰圧として働き、咽頭の後退がさらなる複雑な発声による言語の発達を即す…。


一方、言語の起源が古いとすると、我々の言語が互いに似すぎているようにも思えてくる。
少なくとも出アフリカの時にアフリカに残った人々の子孫の言語はもっと多様性を持ってもいいのではないか?
これは出アフリカの直前に言語を獲得した人々が他を圧倒した、もしくは他に広めたと考えれば良いのかもしれない。
つまり言語の起源は新しい。


そうすると、咽頭の後退を即した淘汰圧は何か?
前適応的な何か。
プレ言語的音声コミュニケーション?


複雑な発声には後退した咽頭と音色をカテゴライズする脳機能が必要。
咽頭が後退し、脳がそれに適応した者同士でないと、より高度なコミュニケーションは成立しないだろう。
しかし、より高度なコミュニケーションがとれなければ淘汰圧は働きそうもない。

もしかして淘汰圧は個体ではなく血縁集団に働いたのではないか?*1
咽頭の位置を決める遺伝子や脳の機能分化を決める遺伝子を共通に持つ家族内でのコミュニケーションが他の家族に優越した場合の繁殖度が高ければ…。


それでも淘汰圧が強く働くのは親子兄弟(+おそらく祖父母)のような核家族単位だろう。
遺伝子の一致度から考えて。
そうだとすると、人類は核家族を単位とすることでプレ言語コミュニケーションを発達させることができたのかもしれない。*2

*1:てけとーづくしの日記でございますが、ここは特にてけとーな言明。当然、血縁関係で淘汰圧がどの程度働くか統計モデルとかで検討されつくしてるんだろうけど。どんな状況でも血縁に対する淘汰圧の減衰が一定とも思えないし…。

*2:人類の集団規模は100〜150人とか言われてるらしいから、その中での核家族単位ということね