逃げ出したほうがよいのか

なんか、最近「日本から逃げ出す」選択肢についてのブログをみかけるんだけど、それってどうなんだろう?

"On Off and Beyond"ってブログは結構気に入ってRSSに登録してみてたんだけど
海外で勉強して働こう
国や組織はどういう時に良くなるか
これらのエントリってどうなのかなぁと。

おいらもだめなら逃げるというのはまっとうな選択肢だと思うし海外出るのはむしろ挑戦でないの?とも思うんだけど…。


少なくとも「欧米」に逃げるのは、いまはどうなんだろね、と思うわけ。


北米・欧州の信用収縮がリチャード・クーの言う「バランスシート不況」をもたらしていたとすると、現在進行している財政拡大・禁輸政策は限定的な効果しか及ぼさずに推移して、本石町日記で訳されていたクルーグマンの懸念が現実化する可能性は結構高いんではないだろうか?


「逃げ出す」系ブログには「日本はだめだ」論調が見える気がするんだけど、これって「不況」でほとんど説明がついたりする気がするんだよね。


リチャード・クー説的には企業も家計も借金返すことに追われて需給ギャップは広がるし、需給ギャップが生き残りをかけた企業による過剰設備の整理縮小をもたらすし、設備更新の鈍化は最新技術の生産への応用も遅らせる。経営者は攻める経営が出来ず、*1半導体でも液晶でもあるいはケータイでも、投資で攻勢に出た海外勢にやられる。

個人の閉塞感は当然、不況が根底にあるし、派遣労働解禁*2も、医療サービスの圧縮も、年金問題も、不況が根っこのところで効いているというか、好況ならさほど問題にならなかったんじゃなかろうか。


んで、何が言いたいかというと、北米・欧州が不況からの短期脱出に失敗すると*3、この日本型の長期不況になっちゃうんでないの?ってこと。

だから、逃げ出すなら少なくともこれらの地域へではないなと。

もちろん、出来上がった先進国型のサービスを享受したいならこれらの地域になるんだろうけど、それって逃げる意味あるの?という話にもなりそうである。


ちなみに日本も長期不況に落ちてからも人々の生活は結構長い事快適だったんだよね*4。都会のど真ん中に屋内スキー場なんか建ててたのはこの不況の時期だったし。これがまた結構流行ってたし。
今のアメリカ人の不況への危機感のなさってのは、国民性で説明したりして、何事にも悲観する国民性の日本は、貯蓄性向が高かったり消費が伸びなかったりで不況から脱出できないから「だめなんだ」論調に結びつけると間違えると思うんだよね。


今日本を襲ってる不況は、輸出ドライブが巻き戻ったために起きてる需給ギャップ型の古典的な不況で、それこそマクロ政策が効くと思うんだよね。
だから、「政治が間違わなければ」、これらの国々と比べるならむしろ期待できるのは日本かなぁと。

*1:だから「ガラパゴス」化ってのも不況が大きな要因にあるんだと思うんだ

*2:つか、好況ならそもそもここまでドラスティックな解禁を行えなかったでしょ

*3:リチャード・クーが正しいんなら不可避。財政出動と金融政策が効くなら別。

*4:ゴールデン・リセッション