通貨価値を守るか?
ネットで反リフレ論者の文章を読んでると、その多くがデフレの害とインフレの利点を認めているのに気付く。
にもかかわらず「人為的にはインフレを起こす事は出来ない」と言ったりする。
しかしインフレを起こすことができないわけはないんだよね。
“ 「もし、日銀が国債をいくら購入したとしてもインフレにはならない」と仮定する。すると、市中の国債や政府発行の新規発行国債を日銀がすべて買い取ったとしてもインフレが起きないことになる。そうなれば、政府は物価・金利の上昇を全く気にすることなく無限に国債発行を続けることが可能となり、財政支出をすべて国債発行でまかなうことができるようになる。つまり、これは無税国家の誕生である。しかし、現実にはそのような無税国家の存在はありえない。ということは背理法により最初の仮定が間違っていたことになり、日銀が国債を購入し続ければいつかは必ずインフレを招来できるはずである。 ”
これはもちろん当然の事に思える。
インフレは確実に起こせるんだ。
彼らが問題にしてるのは、これを本当に実行した場合、貨幣への信認はどうなるのかということなんだろう。
すると、オーリン・ハッチ上院議員(共和党、ユタ州)が叫んだ。「なんてことだ、彼の言うことは正しい。これはすべて幻想だ。そのすべて――貨幣、そして我々の経済全体――それらすべては虚構なんだ!」
リフレを巡る「神学論争」の根底にあるのは、要するにこれじゃないかな。
「リフレなんかしたらハイパー・インフレになる!」
彼らの恐れているところというのは、端的にいえばこういうことなのだろう。
あほみたいな気がするけど。
紙幣がそれ自体は単なる紙切れに過ぎない事は高校生でも知っている。
というよりも、高校生程度の理解とナイーブな不安が根底にある?
いや、むしろ「美人投票」的に考えているとみるべきか。
経済主体の多くが「高校生程度の理解」しかなく、たとえば政府紙幣を大量発行するとか日銀に国債の直接引き受けをおこなわせた場合「ナイーブな不安」が現実行動に現れ、過度のインフレ期待を招くと?*2
だとしても人間の認知機構には正常性バイアスがあるし、そうそう起きそうもないんだけど。
ただ社会の木鐸たる(笑)マスコミがパニック映画に良く出てくる間抜け君みたいに間違った方向に騒ぎ立てて皆を窮地に立たせる危険は排除できないか?
あるいは世界有数の紙幣発行数下のタンス預金とかがあぶりだされて? いやいや。対GDPで規模が違いすぎるでしょ。むしろいい具合に景気浮上しそう。
ともあれ、インフレは制御可能なんだよね。
中央銀行には過度のインフレを制御するツールを持っているが、デフレを制御するツールは(おそらく)持っていない*3ということを想起すべき。
しかし、需給ギャップが大きく日本の製造業の優位性がまだ存在している今を逃すと、ほんとに手遅れになるかも…。