TPPに参加する理由がわからん

関税が撤廃されるとなにか有利になるんだろうか?
日本からの工業製品の輸出が競合国に対して有利になる?
それで黒字を貯めこんで円高になったら*1TPPでの関税分など吹き飛んでしまうんじゃないか?

そもそも今般の円安局面で(おそらく主に金融緩和策が気に入らない層からだと思うが)輸出が伸びていない、輸出品の工場はあらかた海外に出てしまったなんて指摘が出ている。
日本企業がTPP非参加の中国やASEAN諸国で組み立てた自動車や家電の関税もTPPで撤廃されるのか?
工場を今度はベトナムに集中させるのか?
それは日本国民の福祉、福利の向上に資するのか?

もしも混合診療が認められれば、医療保険のマーケットが拡大する。
混合診療を前提にすると、今でさえ赤字財政のもとで継続して診療報酬を抑制し続けてきた厚労省が新規に保険診療と認める医療や薬は現在より抑制されることだろう。
10年・20年後には国民健康保険でカバーされる医療行為では全然足りないという事態に変わっていく。
その頃には医療保険業界はマーケットの拡大とともに確固たる地歩を築き、国民健康保険のカバー域を低く抑えこませる強力な圧力団体として存在するようになるだろう。

その他色々指摘されている難点を無視してまで得られるのは、せいぜい一時的な競合国に対するアドバンテージ?
それは金融緩和で得られた円安よりよいもの?

自由貿易で豊かになるという議論もあるだろうが、そもそも失業があふれる過小需要のもとでその議論が成立するかよく考えてるのだろうか?*2

わからん

*1:輸出企業が儲けた金を国内に持ち込もうとすると円高圧力になる。利潤を海外で再投資すれば円高圧力にはならないが、その場合、企業の利潤は日本国民の福祉とはほぼ無関係になるだろう

*2:派遣労働法のもとで若年層の購買力が弱いという構造的問題を日本の消費構造は抱えている。経常黒字を儲けても、購買力の増強に繋がらず、消費が伸びない結果、輸入が伸びず円高圧力がかかる。それを避けた企業が海外再投資すると国民の購買力はやっぱり上がらないという悪循環