外人の顔、その2

『ウィンドトーカーズ』という映画があった。(2002年)

そこに出てくるナバホ族の青年の顔つきが、あんまりネイティブ・アメリカンっぽくないんだよね。
まあ、ネイティブ・アメリカンは多かれ少なかれ混血してるんでおかしいって事はないのだけれど。
ただ、映画に登場してまもなくの彼の独白にたしか白人と顔つきが違うということに言及してるのがあって、日本人から見れば、君の顔もモンゴロイドと言うよりは白人だよ、という突っ込みを入れたくなったのでした。

ただ、これってアメリカの観客には当然だけどそういう突っ込みは入れられないと思うんだよね。


人間が他の人の顔を識別する機構というのは、本質的なところでは、その人の脳内の「平均顔」モデルからの乖離の計測だと思うんだ。(特徴抽出フィルタとかの問題は計測方法の問題であって計測基準の問題ではないと思うんだ)

たとえば、youtubeに上がってるこのムービー("3D morphable model face animation")の1:05あたりのCaricature Faceは、ある個人の顔の平均顔からの変位を誇張する事で「実物よりその人っぽい」顔画像にする事に成功している。
「実物よりその人っぽい」に見えるって事はつまり平均顔からの乖離を個性として認識する機構が脳内にある事を示唆してると思う。


我々日本人がそれぞれの脳内に持っている基準顔(≒平均顔)は、東洋系のそれだと思うんだ。
だから『ウィンドトーカーズ』のナバホ族の青年の顔が白人っぽく見える。
でも合衆国内で育った人達の脳内で形成されてる平均顔は多数派のコーカソイドの平均顔に近いだろうから、彼の顔はオリエンタルに(というかモンゴロイドっぽく)見えるんじゃないんだろうか。


ま、当たり前といえば当たり前の話な気もするけど。*1


HPのウェブカメラが、黒人を認識できず、ネットで話題になったりしてたのは照明の問題らしいけど、顔識別ソフトウェアも学習画像を適切に選ばないと同じ問題が起きるみたいね。
たとえば、これとか。

黒人は、ミトコンドリア・イブとかホモサピエンスの「出アフリカ」とかから考えれば、遺伝的多様性は、各人種中でもっとも大きいはずで、普通に考えれば顔の特徴の変位バリエーションも最も大きいと思うんだよね。
それが最も認識困難なんてことになるんだから、まったく。



ところで、『ウィンドトーカーズ』に出てきた日本人村の建物のあばら家具合も結構違和感があったんだけど、日本人大工がちゃんと作ってもアメリカの観客には違いが判らんのかもしれんね。
脳内の「平均建具」の基準が違うから。



その1はこちら

*1:だから、このあたりの議論って、少しばかり斜め上なところもある気がする